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再び鏡のようになった澄みわたった水面に男は立っていた。
マスタースパークの直撃を受けた影響か、服は所々焦げていた。
裸足で水面に立っていて、両腕をだらんと力無く垂れている。
中でも最も左腕の傷が深く、血がだらだらと滲み、垂れていた。
そして爆風で吹き飛んだのか、フードは外れていた。
精悍な顔立ちをしていて、腰まである流れるような漆黒の長い髪。
そしてルビーのように、鮮血のように爛々と輝く深紅の瞳。
まだ少し揺れている水面に立つ男は、力強く強烈な存在感を放っていたが…
触れると壊れてしまいそうで…
まるで一枚の絵画のようで…
何故だか少し、儚げだった。
魔理沙は、その幻想的な姿に少し見とれていた。
「…さぁ、戦おう?」
ピチョン…
微かな水音が響き、静かに
静かに…
戦いは始まった。
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