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男は右手を左腰に伸ばし、『何かを握る』動作をした。
・・・・・・・
そして、腕を振り抜いた。
キィン―――……
すると高い澄んだ金属音が響き、コートの中から存在しないはずの長大な刀が現れた。
長く反った銀の刀身。切っ先はまるで雪のように透明感ある淡い白色。
大きさは刀身だけでも2メートル程あり、男の身長を軽々と超えている。
黒い鍔には狼を模した白銀の紋様が彫られており、遠くからでもわかる程の存在感を放っていた。
柄は黒を基調として、色鮮やかな装飾が施され、
その全てが見事なまでに調和し、まさに芸術品と呼ぶに相応しい刀だった。
「さぁ…避けられるか?」
「避けるんじゃなくて…うけてたってやるぜ!!!」
そして魔理沙と男が、ほぼ同時に弾を撃ち始めた。
「いけっ…!!」
男は刀を上段から振り下ろし、多数の弾と漆黒の矢を発生させ…
「はぁ!」
魔理沙は色鮮やかな星を大量に生み出し…
ズドオォォン!
互いが互いを打ち消し、相殺した。
そして二人の視界を煙がおおった。
「ぅわっ!…ケホケホッ…。
…くっ!!?」
ヒュヒュヒュ…! バラララ…!視界を覆っている煙を突き抜け、大量の弾が飛び出てきた。
迅く的確に、魔理沙を狙ってくる漆黒の矢。
遅く無作為に、しかし確実に逃げ場を塞ぐ大小様々な紫紺の球。
「くそ…まだだっ!!」
魔理沙は再び大量の星を放ちながら、箒に跨がり、空へと舞い上がった。
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