~第一章~ …激突、そして和解

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男の目の前に立った時、アリスから鋭い声が飛んで来た。 アリス「霊夢!そんな所は危ないわ、早く下がって!!」 だけど私は後ろを見ずに、聞こえるか聞こえないかの声で、小さく、 ありがとう …って呟いた。 おそらく聞こえたんだろう。アリスが小さく息を飲み、それきり黙ってしまった。 ??「はぁ……はぁ…」 そして荒く息を繰り返す男に、戦闘の意思がないことを伝える為に、両手をあげながらさらに一歩近付いた。 もう手を伸ばせば届く距離。 男は私を睨み付け、警戒しながら途切れ途切れに言葉を放つ。 ??「はぁ…はぁ……何故…オレを……狙う…」 黒い髪の間から覗く深紅の眼は 未だに強い覚悟の焔が灯っていた。 その問に、私ははっきりと答えた。 「あなたが幻想郷に仇なす者だからよ」 …と。 しかし男の反応は抵抗するでもなく、逆上するでもなく、ただ訝しげに首を傾げるだけだった。 ??「幻想…郷…?」 普通ならばあり得ない反応。 もしかして… 「あなた…外来人?」 ??「何を…言っている…此処は……   日本だろう…?」 やっぱり…よく考えればすぐわかることだったわね…。 あれだけの力を持ちながら見たこともない人物。 見慣れない服装。 最近の森での異変。 なんで気が付かなかったのかしら… 「違うわ…此処は、忘れ去られた者達の住む世界、幻想郷よ」 ??「はぁ……はぁ…違う…世界だと…でも………はぁ…言うのか…?」 …気が変わった。 まずは話を、この男の言い分を聞いてみよう。 ・
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