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…でもこの男はもう限界。聞けることは多くない。なら…
「あなた…元の世界に帰りたい?」
??「…はぁ……はぁ…絶対に…お断りだ…!」
男の眼は揺らがない。そこまで強い想いなら…
「…わかったわ。
あなたの、名前は?」
パシャ…
一歩近づく。
??「!……俺に…近付くな…!」
拒絶。しかし男の弱った身体では意味を成さない。
…無視ね。 でも、一瞬その瞳にうつったのは…
不安?
安堵?
恐怖?
喜び?
戸惑い?
私には、よくわからない。
でも…
「失礼したわね…。
私の名前は 博麗霊夢 。この幻想郷の結界を司る博麗神社の巫女よ。
あなたの…名前は?」
パシャ…
さらに一歩。
密着。
もう息がかかるまでに近い。
アリス「れ、霊夢!?くっ…はぁ…何を?」
少しだけ振り向いて二人を見る。
するとアリスが額に汗を浮かべていた。
魔理沙の傷がふさがっているのをみると、どうやらずっと治癒魔法でも使っていたのだろう。
魔理沙「ぅ……アリス…?霊夢も…って!?ぐっ…!」
「魔理沙、無理しないで…」
アリス「良かったぁ…魔理沙…!」
倒れたまま首をこちらに向け喋る魔理沙に、抱きつくアリス。
しかし突然魔理沙が声をあらげる。
魔理沙「おい霊夢!お前何やってるんだ!?」
何って…あぁ…なるほど。
そして話の続きをするためにふと前を向く。
ピタッ…
目が合った。
男は長身なので、私は当然見上げる形になる。
男は先程の様子を見れるくらいは余裕があったらしく、一見無表情にみえるが私には少しだけ…
そう、ほんの少しだけ!
微笑んでいるように見えた。
そんなことを考えていても男の紅い瞳はずっと私の眼を見つめたまま。
どうしよう……恥ずかしい。 …顔が、熱い。
おそらく魔理沙やアリスには真っ赤になった耳が見えているだろう。
そして、不意に…
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