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「どういうこと?」
そう、怪訝な声を発したのは…
腋をおおきく露出させ、紅いリボンで髪を留めた巫女だった。
彼女の前には、身体中傷だらけで土や草で汚れた二人の少女がいた。
二人は疲れきった顔をしていて、余程のことがあったのだろうということがすぐわかった。
彼女の質問に、人形を連れた赤いカチューシャをした少女が答える。
「それが…」
―――
―――――…どうやら二人の話によると、彼女達の住む森に、最近謎のクレーターや動物の死骸、不自然にねじ曲げられた樹等が現れはじめ、一緒に調査に出掛けたらしい。
そしてしばらくすると、全身黒づくめの男を発見し、話しかけようとしたら急に襲われたらしい。
と、そこで箒を持った魔法使いような帽子を被った白と黒のエプロンドレスを着た少女が急に何かを思い出したようにが口を開いた。
「そういや霊夢。あいつ『お前達もか…』って言ってたぜ」
その言葉に霊夢と呼ばれた巫女と人形を連れた少女が首を傾ぐ。
「…どういうことかしら?『お前達も』?」
顎に手をあて、霊夢は考え込む。
深く考え込む霊夢に対し、人形を連れた少女ははっと顔を上げ、自らの予想を言った。
「…ねぇ魔理沙?あの男、何かから追われてるんじゃないかしら?」
すると魔理沙と呼ばれた魔法使いの少女は「あぁ、そうか…!」とでも言いたげに頷く。
「なるほど、アリス…それならいきなり襲ってきたのもわかるな」
うんうんと納得する魔理沙に、アリスと呼ばれた少女は姿勢を正し、霊夢を見据えた。
「ねぇ霊夢?あの男を放っておくのは危険よ…倒すのを手伝って」
すると魔理沙も姿勢を正し、霊夢へと向き直った。
「私からも頼むぜ。さすがにこのままじゃ…」
そう言うと魔理沙から先程までの明るい声が消え、悲しみや悔しさの混じった声を発し俯いてしまった。
すると霊夢は顔をゆっくりと上げ、二人を見た。
…強い決意を宿した瞳で。
そして、彼女は二人を見据え、言葉を紡ぐ。
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