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~第二章~ …月の映える夜空の下で
――――…
―――……ん…
気が付くと見知らぬ天井が目に入った。
あの三人に運ばれたのか…
それにしても、『忘れ去られたもの達の住まう世界』…か。
しかしどうやら、俺は運が良いらしい。
たどり着いた所がまさか『幻想』の世界だとはな…。
まぁ…悪くない、な。
もし、できるのならば、この世界で…
ザァ…
ん……風、か。
頬を撫でる風の吹いてきた方向へ首を向ける。
窓の外の空では雲が晴れてる。
雨は、上がったか。
それに…
「月…」
まだ西の空が微かに朱に染まっていて、薄暗い東の空には、弧を描き仄かな光を放つ月が浮かんでいた。
ふっ…そうだ。
「
夢に見し
幻の郷
此処にあり
泡沫の夢
月夜に掛けて
…」
…ってか
即興でつくったが、余り良し悪しがわからないな…
窓から月を見つつ、考えに耽っていると、
トントン
と、襖から音がした。
まぁ、運良くこっちにこれたんだ…少しは楽しもう。
「起きている。入っても構わないぞ」
例えこの瞬間がいつか消えゆく運命(さだめ)だとしても…
今はただ、夢をみよう…。
少しくらいは、いいよな…?
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