~第二章~ …月の映える夜空の下で

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永琳「安心しなさい。こっちにはそんな奴いないわよ。 いたとしても、私達が凝らしめてあげる。 だから、少しは頼りなさい。 辛かったら、いつでも来なさい、私が貴方の力になるわ。 それに迷惑とか、そんなこと気にしなくていいのよ。だって…」 永琳はそう言って絡めた指を解き、再び翔龍を抱き寄せる。 翔龍「……家族だから…?」 翔龍は少しだけ顔をあげ、遠慮がちに言う。 永琳「ふふ…正解。そう、家族だからよ」 永琳はその答えに満足げな声で答える。 すぐ傍で、永琳が微笑んだのが翔龍にはわかった。 永琳「さて、たまにはウドンゲの手伝いでもしてあげようかしら…」 グイッ! そう言いつつ、その場から立ちあがろうとした永琳を、翔龍が引きとめた。 永琳「翔龍…?」 翔龍「永琳……もう少し…もう少しだけ……このままでいさせてくれ…」 その言葉からは、切実な願いが滲み出ていた。 『行って欲しくない』…という願いが。 永琳「…」 永琳は返事として、静かに翔龍を抱きしめた。 小さく、もう少しだけよ、と言って。 ――  ―――…―――――…… 永琳「…落ち着いたかしら?」 しばらくして、不意に永琳が翔龍に問い掛ける。 翔龍「あぁ……すまな…」 スッ… そう言いかけた翔龍の口に、永琳の人差し指が止める。 永琳「ふぅ……全くもう…」 永琳はそうため息をつくと翔龍から離れ、戸口に向かい、歩き出した。 突如歩き出した永琳に、翔龍は、はっと気付き、慌てて“ある言葉”を言う。 翔龍「永琳!あ……ありがとう…」 永琳には翔龍が顔を背け、若干頬を朱に染めているように見えたそうな。 永琳「(あら…可愛らしい面もあるじゃない) そう、それでいいのよ… さて… コホンッ…」 月の光が差し込む静かな部屋に、永琳の咳払いが響いた。 途端に、暖かな雰囲気が一変する。 翔龍「閑話休題…か?」 永琳「えぇ…それじゃ、まずは…」 トテトテ… ししょー、師匠ー 永琳「……また今度ね」 翔龍「あぁ…また、だな」 そうして二人が笑い合っている中、先程の足音と声の主、鈴仙が襖をあけ、部屋に入ってきた。 ・
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