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鈴仙「師匠、失礼します。…!お邪魔でしたか♪」
鈴仙がまるで先程の仕返しのように、頬に赤みを帯びている永琳に言う。
地獄をみるとも知らずに…。
永琳「ウドンゲ、ちょっと話しましょうか…さぁ、来なさい」
この時の永琳の顔は、この上無い最高の笑顔だった。
鈴仙にとっては、ただの恐怖の対象でしかなかったようだが。
鈴仙「し、師匠…すいませんでした!ごめんなさい許して下さい!!!
って嫌ぁぁぁぁあぁぁ…」
翔龍「哀れ、鈴仙…」
永琳に引きずられていく鈴仙に、静かに祈りを捧げた翔龍であった。
翔龍「ふぅ……他人との関わりは持たんつもりだったのに…
だが、しかし…」
永琳「思っている程、悪くはないでしょう?」
窓から三日月を眺める翔龍が呟いた言葉に、いつ戻ってきたのか、永琳が答える。
翔龍「まあ、な…」
翔龍のその言葉に永琳は満足げに頷くと、隣に行き、すとん、と腰をおろした。
永琳「月が綺麗ね…」
翔龍「あぁ……だが、満月だったらなお良かったろうな…」
そういう翔龍の顔にはほんの少しの笑みがあった。
トスッ…
翔龍「永琳?…どうした?」
永琳は身体を倒し、翔龍の肩に頭をもたれさせていた。
永琳「…なんとなくよ、気にしないで」
永琳は素っ気なく言うが、頬は緩んでいた。
鈴仙「し、ししょー…////」
その時、また鈴仙が部屋に入ってきた。
何があったか、鈴仙の顔は赤いままだった。
鈴仙「え、宴会の準備が整いました…///」
翔龍「宴会?なん…」
永琳「行けばわかるわ。ウドンゲ、案内してあげて」
永琳はそう言うと、すっと立ち上がり、部屋の外へ向け歩いてゆく。
鈴仙「し、師匠?どこへ?」
その言葉に永琳は頭を抑えながら、
永琳「姫のところよ。それじゃ、宜しくね」
そう言って早足で出ていってしまった。
「「………」」
二人の間にしばしの沈黙がながれた。
鈴仙「……そ、それじゃ…いきましょうか」
翔龍「…あぁ」
二人は並んで、宴会場ヘと足を向けた。
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