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翔龍「それにしても…酒など飲んだことないんだが…」
一気に喧騒に包まれた会場で、翔龍は盃を片手にポツリと呟いた。
その言葉は隣にいる萃香は、顔をぱぁ、と輝かせる。
萃香「なら慣れた方がいいよ!ほら、ほら飲んで!///」
翔龍「ぅ…わかった、わかったから…」
萃香「ん♪…ほらほら」
萃香は嬉しそうに言って、自分の酒を飲む。
翔龍「ん…!…意外にいける…」
萃香「でしょでしょ!?ほら、もっともっと!」
翔龍「萃香…近いぞ?」
萃香「……わっーーーっ!!?////」
萃香は再び翔龍に密着してしまったことに気付き、すぐさま離れた。
そして、酒を一気に飲み、顔を真っ赤にしながら、ビシッ!…っと翔龍を指さす。
萃香「これは、お酒のせいだからね!!!////」
萃香はそう言うと、「飲み比べしてくる!」と言ってふらふらと歩いていってしまった。
翔龍「…?」
翔龍が首を傾げ、何気なく振り返ると、縁側に見知った顔、永琳を見つけ、そちらへと歩いて行った。
永琳「あら…?」
翔龍「よぉ…」
縁側には、お祭り騒ぎの会場を見つめる、永琳と…
艶やかな長い黒髪の、美人…としか形容できない女性が座っていた。
??「へぇ…あなたが…」
翔龍「貴女は…?」
??「私?私は… 蓬莱山輝夜。この永遠亭の主よ」
翔龍の問いに、輝夜は威厳をもって答える。
輝夜の何気無い仕草や言動、それらには全て、気品と威厳が漂っていた。
しかし、輝夜、という名前に反応したのか、翔龍が疑問の目を向ける。
翔龍「輝夜?その名前は…」
ピシリ…
その言葉が出た途端、先程の和やかな雰囲気が消え去り、空気がガラリと変わった。
まるで押し潰されそうな程の緊張感が三人を包んだ。
輝夜「翔龍…って言ったわね、あなた」
輝夜の言葉には、先程のように気品と威厳があったが、警戒しているのが一目瞭然であった。
輝夜「あなた…私の事を知っているの?」
輝夜の声には、聞くものを震えあがらせるような威圧感が明らかにこめられていた。
手にしていた盃を置き、翔龍を見据えるその瞳には、高貴なる者が纏うであろう気高さが宿っているようにも見えた。
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