~第二章~ …月の映える夜空の下で

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翔龍「あぁ…当たり前だ」 翔龍は手にしている盃を傾け、酒を飲み干し、キッパリと言い切る。 永琳「姫様、まだそうと決まった訳では…」 翔龍の口から輝夜の名前が出た時から俯いていた永琳が顔を上げ、不安げな表情で言う。 輝夜「永琳は黙っていなさい」 輝夜は翔龍を見据えたまま、話の流れを断つかの如くピシャリと言い放つ。 輝夜「そう……」 輝夜はそう確認すると、静かに目を閉じた。 輝夜「じゃあ… 「学校で普通に習ったしな」 ……へ?」 永琳「えっ?」 はっきりと聞こえたその言葉に、二人から間抜けな声が上がる。 翔龍「あぁ…こっちの世界じゃ寺子屋か?」 翔龍は二人を横目で見ながら、思いだしたように言う。 永琳「……ふぅ」 永琳は緊張が溶けたような顔で、安堵のため息をついたのに対し、一方の輝夜は… 輝夜「えっ?もしかして私の早とちり…?」 二人を交互に見比べ、ただただ、困惑するだけだった。 ――― ―――――… 翔龍「つまり、俺を月の追っ手と勘違いしたと……そういうことか」 ため息をつく翔龍。その顔には、若干の呆れが混じっているように見えた。 輝夜「う゛…ごめんなさい…」 謝る輝夜には、先程の威厳も高貴さも消え、もはやただの少女だった。 翔龍「別に、責めてる訳じゃない…」 翔龍はそう言うと一息つき、静かに弧を描く月を見上げた。 翔龍「少し、驚いた…ただそれだけだ」 そう言うと、翔龍は輝夜に向き直り、少しだけ、微笑んだ。 輝夜は頬をほんのりと赤く染め、若干ぎこちないながらも翔龍に向かってはにかんだ。 翔龍「なぁ…輝夜が禁忌の蓬莱の薬を飲み、不老不死になって、月を追放された…のは分かる。 だが、月に…過去に未練はないのか?」 翔龍が何処からか持ってきた酒瓶から酒を注ぎ、一口呑み、ポツポツと言う。 永琳はいつの間にか宴会場に行ったようで、縁側には二人だけだった。 翔龍は、なおも離れて行く永琳の背に向け、声を飛ばす。 翔龍「永琳!」 そして、宙に酒瓶が飛ぶ。 パシッ! 永琳は振り向き、投げられた酒瓶をキャッチした。 そして驚いた顔になり、二人を見て笑顔をなって騒ぎの中に消えていった。 …二人を見た時の永琳の笑顔は、ひどく、寂しげに見えたが。 ・
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