~第二章~ …月の映える夜空の下で

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そして永琳は二人に背を向け、去り際に、翔龍に向けて何かを投げた。 輝夜「…何かしら?」 輝夜はずい、と身を乗り出す。飛んで来たのは、紙の束を丸めたものだった。 翔龍「ん?…何々……『これには貴方の身体の事、起こった変化等が書かれているわ。今は宴会中だし、後で見なさい』…か」 その時、紙をじーっと見ていた輝夜が、首を傾げて言う。 輝夜「そういえば、翔龍の能力って何なの?」 翔龍「さぁ…よくわからん。幻想郷に来る前は知ろうとも思わなかったしな」 翔龍はそう言って苦々しい表情になる。目を瞑り、顔を歪ませる。 輝夜「そう…ごめんなさい」 翔龍「別にいい…」 謝る輝夜に、翔龍は心底どうでも良さそうに言う。 二人は微妙な空気のまま、前を見る。 騒ぎの中に消えていった永琳…輝夜は少し複雑そうに苦笑する。 輝夜「…永琳には、悪いことしちゃったかも知れないわね…」 そう言うと輝夜は顔を上げ、月を凛とした表情で見上げる。 輝夜「…話を戻しましょう …翔龍、私は?」 翔龍「…?輝夜は輝夜だろう…?」 翔龍がそう言うと輝夜は、あ~…、っと苦笑いを浮かべる。 輝夜「うーん、ちょっと違うわよ…蓬莱の薬を飲んだ私は?」 翔龍「不老不死…か?」 輝夜「ええ…永遠の時を生きる以上、過去は無限にやって来る。 …それは、時には振り返ってみるのもいいかも知れないわ…でも、それなら… 翔龍「今をできる限り楽しみたい…か?」 輝夜「…えぇ、そうよ」 輝夜は先に言われて少し驚いた顔をするが、すぐに輝くような笑顔でかえした。 輝夜「翔龍、人の台詞取らないでくれないかしら」 翔龍「すまんすまん…」 輝夜「ふふふっ…」 翔龍「ふっ…」 二人はそう言うと笑いあった。 ・
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