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しばらく二人は笑いあい、並んで月を眺めていた。
すると翔龍は突然立ち上がり、歩き出す。
輝夜「しょ、翔龍?…何処に行くの?」
そう、不安げに言う輝夜。
翔龍「鈴仙の所だ、変な別れ方したからな」
むぅ…と不満げに唸る輝夜の頭には、翔龍の手が伸び頭を撫でていた。
頭を撫でられている輝夜は目を瞑って、その心地好さを堪能しているようだった。
翔龍「じゃあな、輝夜。機会が有れば、ゆっくり話そう」
翔龍は名残惜しげに手を離し、背を向けた。
輝夜「…えぇ、わかったわ。
…約束だからね?」
輝夜が確認と念押しに翔龍に問いかける。
翔龍は少しだけ振り返り、顔を合わせずに小指を立てて片腕をつきだした。
翔龍「……」
輝夜「…ふふっ、なに?」
輝夜は翔龍の言いたい事を理解し、微笑みを浮かべながら敢えて聞き返した。
翔龍「っ……やめるぞっ……!」
翔龍は耐えきれなくなったのか手を引っ込めようとする。
輝夜「冗談よ。…はい」
輝夜は翔龍が手を引っ込める前に素早く引き寄せ、しっかりと小指を絡めた。
輝夜「ゆ~びき~りげ~んま~んうそついたら針せんぼんの~ます!…指きった!!」
輝夜は大きな声でゆっくりと言った。小さいながらも、その確かな繋がりを周りに知らしめるかのように。
周りの因幡達はその微笑ましい光景に笑いながら二人を見ていた。
翔龍「どうしてくれる…」
輝夜「あら、いいじゃない。いっそのこと、既成事実でも作る?」
半ば諦めたように言う翔龍に、輝夜はとんでもないことをさらりと、いたずらな笑みを浮かべながら言う。
ゴツンッ!!
輝夜「!?っ~…!な、何するのよ…」
すると輝夜の頭に翔龍の拳が降ってきた。
翔龍「……変なことを言うからだ」
輝夜「…わ、私は、良いわよ…?////」
ビシッ!
輝夜「あぅ」
するとすかさず輝夜にデコピンが決まった。
翔龍「はぁ…少しは自分を大切にしろ…
それに…
俺なんかに…」
輝夜「えっ、最後なんて言ったの?」
下を向きボソリと言う翔龍に、輝夜は聞き返す。
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