~第二章~ …月の映える夜空の下で

13/26
前へ
/46ページ
次へ
しばらく二人は笑いあい、並んで月を眺めていた。 すると翔龍は突然立ち上がり、歩き出す。 輝夜「しょ、翔龍?…何処に行くの?」 そう、不安げに言う輝夜。 翔龍「鈴仙の所だ、変な別れ方したからな」 むぅ…と不満げに唸る輝夜の頭には、翔龍の手が伸び頭を撫でていた。 頭を撫でられている輝夜は目を瞑って、その心地好さを堪能しているようだった。 翔龍「じゃあな、輝夜。機会が有れば、ゆっくり話そう」 翔龍は名残惜しげに手を離し、背を向けた。 輝夜「…えぇ、わかったわ。 …約束だからね?」 輝夜が確認と念押しに翔龍に問いかける。 翔龍は少しだけ振り返り、顔を合わせずに小指を立てて片腕をつきだした。 翔龍「……」 輝夜「…ふふっ、なに?」 輝夜は翔龍の言いたい事を理解し、微笑みを浮かべながら敢えて聞き返した。 翔龍「っ……やめるぞっ……!」 翔龍は耐えきれなくなったのか手を引っ込めようとする。 輝夜「冗談よ。…はい」 輝夜は翔龍が手を引っ込める前に素早く引き寄せ、しっかりと小指を絡めた。 輝夜「ゆ~びき~りげ~んま~んうそついたら針せんぼんの~ます!…指きった!!」 輝夜は大きな声でゆっくりと言った。小さいながらも、その確かな繋がりを周りに知らしめるかのように。 周りの因幡達はその微笑ましい光景に笑いながら二人を見ていた。 翔龍「どうしてくれる…」 輝夜「あら、いいじゃない。いっそのこと、既成事実でも作る?」 半ば諦めたように言う翔龍に、輝夜はとんでもないことをさらりと、いたずらな笑みを浮かべながら言う。 ゴツンッ!! 輝夜「!?っ~…!な、何するのよ…」 すると輝夜の頭に翔龍の拳が降ってきた。 翔龍「……変なことを言うからだ」 輝夜「…わ、私は、良いわよ…?////」 ビシッ! 輝夜「あぅ」 するとすかさず輝夜にデコピンが決まった。 翔龍「はぁ…少しは自分を大切にしろ… それに… 俺なんかに…」 輝夜「えっ、最後なんて言ったの?」 下を向きボソリと言う翔龍に、輝夜は聞き返す。 ・
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

508人が本棚に入れています
本棚に追加