理論展開

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 曰わく、生命とは目に見えるものではない。  私達が見ているのは生命という見えない物を隠している盲信者である。  これを記す私も、同様に盲信者だ。  生命を形にすることが出来るのならば、私達という肉体は必要がないだろう。ならば私達は盲信するしかない。なにせ死を恐れているのだから。  私は思う。私達という肉体が必要なくなった生命。それはつまり、盲信者達が信仰対象を失ったということだ。盲信者にとってそれは全てなので盲信者は死ぬしかない。  死とは、生命が形を持つことである。  盲信者達が活動のエネルギーとする生命自身が、形を持つということは、“それ”には生命という概念が存在しないということだ。  突然変異種と名高い“魔物”。否、それは突然変異種などではない。  彼らの鼓動を聴いたことがあるだろうか。生きる為に必要なものが彼らには必要ない。当然、彼らに心音なぞ存在しない。  私は思う。魔物とは生命自身が形を持ったものだと。
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