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数秒したら、森という世界には音がかえってきた。
少女は耳を塞ぐ手をどかし、唖然と正面を見る。
「また会ったな。二回目の自己紹介になるが、エリアスだ」
そこには、クレーターを作り上げた、エリアスがいた。
エリアスはスタスタとクレーターを歩き、真っ直ぐに少女のもとへ行く。
「立てるなら立て。立てないなら手をかしてやるから立て」
「なによそれ、結局立たなくちゃいけないんじゃない」
そういって、少女は自らの手を少年へと伸ばす。
少年はふんっ、と鼻をならし、その手を引っ張り少女を立たせた。
「怪我はないか?」
少年はまるで当たり前のように聞く。
当たり前とは場において、常識的に、ではなく、慣れたかのようなという点での当たり前だ。
「大丈夫」
「足のほうに赤い液体が見られるが、それは血と解釈して構わないな?」
少女の発言を無視して少女の太ももを指差す。
そこからは、先ほど切ったのか血がたらりと流れていた。
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