出会い

9/10
前へ
/19ページ
次へ
「なんだ?」 「え、いや。あなた、最初に会った時ここの全容は把握してるって……」 「確かに、そう言ったな。けど偶然だ。偶然そこに行ってしまった、ただそれだけだ」  リッカの心の奥を見透かすようなニヤリ笑いをして、エリアスは歩きだした。  偶然を必然と言う者はいるが、必然をわざわざ偶然に言い直す人はそんなにいないだろう。 「あ、ちょっと、待ってよ」  スタスタと歩くエリアスを小走りに追いかけるリッカ。どうやら、助けてくれたことに関して追求する気はないようだ。 「どこに向かっているの?」 「とりあえずは森を出ようかと思ってな」 「グリズリーマザーを消し去った時みたいに不思議な力で瞬間移動とかできないの?」 「そういう万能なものじゃないんだよ」  そんなものなのかとシュンとなるリッカ。それをどう思ったのか、エリアスは自ら口を開いた。 「魔物の造りがどういうものなのかは、知っているか?」
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加