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「なんだ?」
「え、いや。あなた、最初に会った時ここの全容は把握してるって……」
「確かに、そう言ったな。けど偶然だ。偶然そこに行ってしまった、ただそれだけだ」
リッカの心の奥を見透かすようなニヤリ笑いをして、エリアスは歩きだした。
偶然を必然と言う者はいるが、必然をわざわざ偶然に言い直す人はそんなにいないだろう。
「あ、ちょっと、待ってよ」
スタスタと歩くエリアスを小走りに追いかけるリッカ。どうやら、助けてくれたことに関して追求する気はないようだ。
「どこに向かっているの?」
「とりあえずは森を出ようかと思ってな」
「グリズリーマザーを消し去った時みたいに不思議な力で瞬間移動とかできないの?」
「そういう万能なものじゃないんだよ」
そんなものなのかとシュンとなるリッカ。それをどう思ったのか、エリアスは自ら口を開いた。
「魔物の造りがどういうものなのかは、知っているか?」
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