頼むからそっとしといてくれよ!

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「まあ、あんま気にすんなよ」 「おー……」  3年D組の教室の前で厚と別れる。厚は文系のクラス、3年C組。  そういや厚は2年のときに、野中と同じクラスだったんだよな、なんて考えてため息をついた。やめやめ、考えんのやめよ。  スタスタと自分の教室に向かっていく厚の後姿から視線を逸らしてから、ずれてきたエナメルの鞄を掛けなおして、教室へと足を踏み入れた。 ざわつく朝の教室。おはよう、と声をかけられたら、挨拶を返す。まだ自分から進んで声をかけるってのは無理。  っていうか、そういう自分からガツガツいくキャラじゃないから、これからもしないと思うけど。  挨拶を返しながら自分の席へと向かう。窓際、前から3番目。鞄を机の横に置いて、席に座る。 エナメルのデカイ鞄は通路のジャマになってんだろうけど、鞄を入れるロッカーとかそういうのがないから仕方ない。  出来るだけ鞄を机に近づけるように動かしてから、ちらり、と辺りを見渡して、もう一度ため息。  ……なんか全員が知ってる気がする。  そんなことあるわけないし、被害妄想だってーのはわかってんだけど。朝練で散々な目にあったせいで、ちょっと疑心暗鬼状態。  格好悪すぎる失恋を同級生、後輩、顧問にまで知られて、失笑されたら誰だってこうなるって。  朝のことを思い出して両手で頭を抱え、机に顔を伏せる。  あー……ほんとサイアク。時間を巻き戻したいって今日ほど思った日はねーよ。 .
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