オムライス

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何故そこで「オムライス」だったのか? それは単に簡単だと思ったからに違いない。 何とも無知な男だ。 その時の俺は理由などない自信があった。 だって母ちゃんはいつもシャシャっとフライパンで作ってくれる。 俺はフライパンを用意し、考えた。 まずはタマゴはいる。そして中身はご飯、ケチャップライスだ。 ここで第一関門! ケチャップライスの具は何だ? ニンジンか?タマネギ? ん!チキンライスって言うよなぁ。 て、言う事は鶏肉だよなぁ。 冷蔵庫から鶏肉とニンジンとタマネギを取り出した。 いよいよ戦闘開始! まな板に鶏肉を置き、包丁で切りはじめた。 「なんじゃこりゃ!」 松田優作か! 鶏肉は自分が描いたようには全く切れず、包丁は鶏肉の上を滑るばかりで、ほとんど切れてない。 格闘すること十数分、切れたと言うよりちぎれた感じだった。 すでに心が折れそうになっていたが、ニンジンを手に取り切り始めた。 さっきの鶏肉と違い切れる事に感動すら覚え、心が復活! ただ、これも想像とは違う大きさだったがそれは仕方ないと思い、タマネギを手に取ったが、無理だろうと言う誰かの囁きにあっさり諦める。 冷凍庫からご飯を取り出し、レンジで“チン!” これはおてのもの、フライパンに油をひき鶏肉を入れニンジンも入れた。 炒めるだけなら簡単とばかりに鼻歌混じりにフライパンを振る。 ご飯を入れ、塩と味の素を入れた。 ここでどんな味になってようが、今から入れるケチャップで全てはOKになると信じていた。 臭いだけはそれぽっくなっていた。 これだけ食べてもよかったし、その方が腹の虫は収まったに違いないが、初志貫徹! 俺はタマゴに取り掛かった。 ボールにタマゴを割り入れた。 一個目が綺麗に割れて調子に乗り二個目は殻ごとボールの中へ。 以外と殻が取れず悪戦苦闘。 タマゴをかきまぜフライパンへ。 ”じゅ~ぅ“といい香が漂った。 フライパン一面に敷いたタマゴを見ていた。 もうすぐその愛らしい姿を現す「オムライス」を想像していた。
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