ヒビの影に潜む

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 「生きてることが辛いなら」という曲があるんだけど、リスナーのみんなは知ってるかな?  たびたびニュースとかでも取り上げられてるし、一部のコンビニでは放送禁止になったりした曲ってことでかなり有名になったんだけど、俺はそのことですごい日本のマスメディアに失望したし、それを鵜呑みにしかできない人々に憂いを覚えちゃったんだ。  その曲は命の重みとか、尊さとか、そういうものをストレートに表現してるんだけど、俺はその歌詞に感動を覚えたんだよ。 (俺は道の端に寄ってラジオを聞いている。そしてそこで、先程感じのいい店員から、迷惑をかけたお詫びということでもらったシュリンプサンドイッチを頬張っている)  病んで、病んで死んでしまいたい人に追い討ちをかける歌には俺は思えないんだ。  もちろん、それは俺が今、死んでしまいたいという心境でこの曲を聞いた訳じゃないんだから、そういう気持ちになる人のことを責められないんじゃないと言う人がいるかもしれない。  責める気持ちはないんだ。  ただ、何かを感じるなら、マスメディアにコントロールされた印象を捨てて、自分の頭で考えてほしい。  誰の頭でもない。  自分の頭で考えてほしい。 “生きてることが辛いなら  いっそ小さくしねばいい  恋人と親は悲しむが  三日と経てば元通り  気がつきゃみんな 年取って  おんなじとこに行くのだから”  何を感じる?何を思う?  自分の頭で考えてほしい。  聴いてくれ、森山直太朗で“生きてることが辛いなら” (ストリングスの音が鳴り、柔らかなピアノがそれに重なる。声が世界に響いていく。  俺は何を感じる?  俺は何を考える?)  
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