最低女でも構わない

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愛子は私の前まで来るとその勢いでその手を大きく振りかぶった (ベタだなぁ…) 怒りに任せて私に殴りかかる愛子を見て私はそんな事を思った そして、次の瞬間パシンと言う頬を叩く音が響いた 「…っ」 「ゆ…裕太」 愛子の振り上げられた手は私の頬ではなく裕太の顔面に直撃した 裕太は思ったより痛かったのか顔を歪めている 愛子はそんな裕太の行動に戸惑っていた 「裕太…大丈夫?」 心配そうに私は裕太の顔に手を添えて殴られた部分を見た 「大丈夫…。ちょっと、口切っただけ」 私にそう笑顔を向けて答える それでも心配そうな顔を向けると裕太は私の頭を撫でて愛子に向かい合った 「なによ、それ…」 愛子が震える声で呟くように言った 「どうして、裕太がその女を庇うのよ!悪いのはこの女じゃない!」 「愛子…」 「どうして?!そんな顔だけの女がいいの?裕太、言ったじゃない!女は見た目じゃないって!」 ついに愛子の目からは涙が零れ落ちた そんな愛子は凄い取り乱していて、その姿は私が見たかったものど満ちあふれていた 顔だけと言って馬鹿にしていた女に彼氏は目の前で愛し合っていた (屈辱でしょう?その顔が見たかったの) 私は笑いを必死で堪えた 「俺は…女は見た目じゃないって思ってるよ。だけど、お前よりもあずさが好きなんだ」 裕太が意を決したように言った 「裕太はその女に騙されてる!アンタが裕太を誑かしたのね!許さない!裕太はこんな事する人じゃない!」 裕太の言葉なんて愛子の耳に入らない 怒りの矛先は私に向かって牙を向く 「違う!俺から手を出したんだよ!あずさはただ俺の話を聞いてくれてただけだ!」 裕太が愛子に怒鳴るように言うとその気迫にやられてたか愛子が大人しくなる
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