抱き枕に抱く淡い思い。

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「ふぃ~……サッパリした~」 疲れた身体と心を癒すのは、やはりお風呂に限る。もう隅々まで洗った。もちろん、今夜に備えて。 俺はお湯を入れて5分は待たなければならないカップ饂飩を何としてでも時間を短縮したかっため、乾燥麺とお湯で解かしたつゆを交互に分けて飲み食べるという荒業を見せ、 「バリッバリッバリッ。ゴク………。バリッゴク……バリッバリッバリッバリッバリッバリッバリッ……ゴク…………バリッバリッバリッバリッバリッバリッバリッバリッバリッ……」 と、やや麺を食べる比率を多くし過ぎたせいなのか、コップ一杯分に凝縮させた激濃いつゆがまだ十分の九を残したままに、麺を食べ終えてしまうという快挙を成し遂げてしまった。 そして、そのつゆを飲み終えるのに三十分は掛かってしまった。込み上げる吐き気を堪えるのに精一杯だった。精力も産まれたての小鹿並に減退した気がした。 「……しかし、時間が掛かれば掛かる程楽しみは凄みを増すというもの!!」 そう信じて、たぷんたぷんとニリットルの水とつゆと粉末状と化した饂飩の粉によって出来たボテ腹を揺らし、自室のある二階へ青色の抱き枕を脇に挟み上がった。 「これで俺も枕童貞とはオサラバだぜ!!」 俺は、枕をギュッと強く、産まれたての小鹿なら骨がバッキバキに砕けてしまう程の力で抱きしめ、その状態のままベットインダイブを決めた。大丈夫、雰囲気が出るよう既に電気は消してある。 ※枕童貞……光の造語。ご想像にお任せ。 そこから俺と弓羽ちゃん(抱き枕の名前)の熱く中身の濃い激しい夜が始まりを告げた……。  
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