抱き枕に抱く淡い思い。

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「へぇ……家庭教師ね……」 奇跡的に黄泉の道からの逆走を果たした俺は、テーブルに向かい合う、鏡でも見ているのかと錯覚してしまいそうな程自分にそっくりの女性の話を聞いた。なんか妹が着ている服に似ている気がする。 何でも玄関が閉まっていたから二階の窓からの不法侵入をして来たらしい。家庭教師をさせてもらう為に。それで中々目覚めなかった俺に腹を立てたという事だった。 「そ……そうです……」 いまさら敬語。俺と同じ容姿。常識の範疇を棒高跳びの世界記録並に跳び越えている話の内容。犯罪まがいの行為をされていながらも、こちらとしては温厚に接しているつもりなのにも関わらず、そわそわと焦っている様子。 怪しい……。 そして何よりも……。 「もう一度名前を聞いてもいい?」 「……霧矢……光」 俺と同じ名前。 敢えて深い話は聞かないでおくとして、何か事情がありそうな感じだ。 「……分かりました。家庭教師ですね。ふつつか者ですがどうぞよろしくお願いします!」 でも!厄介事に首を突っ込む事が俺のポリシー。土下座までするのが国際社会で成り上がっていくための秘訣です。 「え…あ……いや…こ……こちらこそ……」 ふふ……慌ててる慌ててる……。  
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