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「今まで大変だった……。なかなかレベルが上がらないし、めんどくさいし。でも上げないと帰れないし、そのままで帰ればオヤジに殺されそうだしな」
そんなうんうんと頷きながら今までの苦労を語るレナードの肩を、リトは優しく叩く。
「そっか、大変だったんだな……。その苦労から解放してやる。一緒に病院に行こう。頭か精神の」
リトは優しげな笑顔を浮かべ、しかし目にはたっぷりと哀れみを込めてレナードに言った。
「む……信じていないな?」
「信じてしまったら終わりだと思っているよ。こんな所に魔王がいるわけねーし。傷んだ林檎で腹下す魔王なんて信じたくねーし」
全く信じないというリトに、レナードは慌てなければ怒りもせず、ただあっさりと頷いた。
「うん、まあ信じようが信じまいがリトの自由だしな。別に証明できるものもないし」
そんなあっさりした言い方に、リトは少しだけ、「もしかして本当なのか?」と思ったが、そこで信じたら負けだ。また茶化されると思い、その考えを頭の中から追い払う。
信じない理由として、話が突拍子なさすぎるというよりは、レナードの今までの行動の方が大きいようだ。
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