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「……いや~、助かった。感謝する」
リトの家のトイレから、満面の笑みを浮かべて出てくるレナード。そんなレナードを見て、リトは呆れてため息をつく。
リトの家に来るまでの間に、なぜ腹を壊したかという経緯を聞いているため、なぜレナードが腹を壊したのか、リトは既に知っている。
「……パクった林檎が傷んでて、それ食って腹壊したってアホじゃね?自業自得だっつの」
リトのその言葉に、レナードはハンカチで洗った手の水気を拭き取りながら、真剣な表情で頷いた。
「ああ、そうだな。今度は傷んでいるか確かめて、『これ、パクらせてもらいますね』と言ってから盗ることにしよう」
「そういう問題じゃねぇよ!つかまず金払え!盗むことを前提にするな!」
反省しているようにはまったく見えないレナードは、しれっと次も盗むことを宣言する。
それに対し、リトは正論でツッコミを入れた。先程からずっとこんな調子だったため、リトは疲れ気味だった。
「おいおい少年。これ程度で疲れていたらこの先大変だぞ?」
「うるせえ!」
リトは思う。トイレ貸してやらなければよかった、と。というか、今のレナードの様子を見れば、意外と余裕があったんじゃないかとさえ思えてきた。
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