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「……少年、短気なのはよくないぞ。カルシウムをとれ、カルシウムを」
「余計なお世話だ!つかさっきから少年少年って!お前と歳大して変わんねえだろ、見た目的に!それにオレは女だ!」
リトは我慢ならず一息に、一気にツッコミを入れる。それに対しレナードは、その言葉の中に驚くべき事実が含まれていたため、目を丸くしてリトを見る。
「……お前、女だったのか。どう見ても男にしか見えないぞ」
レナードの言う通り、リトは男にしか見えなかった。それは格好のせいなのか、はたまた中性的な顔のせいなのか、それともその両方なのかは分からない。
「う、うるせー!悪かったな、見えなくて!でも見えなくてもオレは女だっ!」
「いや、悪いってわけじゃないんだが……。というか『オレ』なんて使ってれば余計見えないな」
「ぐっ……」
リトは言葉につまる。それは自分でも気付いていることで、わざわざ誰かに指摘されるまででもない。
「……死んだお父さんとの約束なんだ。『強く生きろ』って……」
「……ふーん。んで、強く生きようとして男のフリって、単純だな」
呆れたように肩をすくめながらのレナードの遠慮もないストレートな言葉に、リトは少し頭にきて顔を赤くする。
「うっせー!単純とか言うなー!つか、こんな話聞いて言うことがそれかよ!」
「にしても意外だな。お父さんか。てっきりオヤジとか呼んでいるかと思ったら……そこまでは徹底してないのか。フリだけで、本当に男になる気はないらしい」
「もうお前喋んな!」
そこからしばらくレナードにからかわれ続け、リトは顔を赤くしながら反論していた。もちろん、この時点でからかわれているんだとリトは気付かない。
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