#2スチールメーキャップ

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「やっぱ、やなカンジ!」  エレベーターが八階に着き、三夜子は教室へ向かう。入口に立つと、すでになかには、二十名ほどの生徒がいて、メイク道具を黒い長机に準備しているところだった。  三夜子よりも五歳年上のような感じの人がほとんどで、皆どこか洗練された雰囲気があった。  教室へ足を入れると、その集団は座ったままこちらへ頭を少し下げて、ぎこちない礼をした。三夜子は、両手でメイクボックスを持って、しばらくかたまっていた。 「あのう……」  恐る恐る声を出した。 「スチール、メイク?」  重いメイクボックスから右手を抜いて、床を指した。 「そうよ」  窓側の手前の席に座っていた女が、大きく頷きながら言った。
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