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「やっぱ、やなカンジ!」
エレベーターが八階に着き、三夜子は教室へ向かう。入口に立つと、すでになかには、二十名ほどの生徒がいて、メイク道具を黒い長机に準備しているところだった。
三夜子よりも五歳年上のような感じの人がほとんどで、皆どこか洗練された雰囲気があった。
教室へ足を入れると、その集団は座ったままこちらへ頭を少し下げて、ぎこちない礼をした。三夜子は、両手でメイクボックスを持って、しばらくかたまっていた。
「あのう……」
恐る恐る声を出した。
「スチール、メイク?」
重いメイクボックスから右手を抜いて、床を指した。
「そうよ」
窓側の手前の席に座っていた女が、大きく頷きながら言った。
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