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五十嵐は、ピザとワインを注文し、三夜子に好みをたずねると、バニラジェラートも付け加えた。そして、ウェイトレスが去ると、テーブルに真っ赤な紙袋を出した。
「これは、プレゼントだ」
照れや戸惑うこともない表情。五十嵐は、当然のように三夜子に渡した。
「え?」
紙袋の中を覗き込むと、三夜子の目はだんだんと大きくなった。
「これって――」
「ドレッサージュだよ」
「はい」三夜子は紙袋に手をそえたまま、小さく頷いた。
「……知ってます」
それは高級ブランドとして有名だった。
「ドレスがあって、ないのは靴だろ? それに――」
五十嵐は、タキシードの内ポケットをまさぐった。そして、爽やかなターコイズブルーの小箱を取り出し、三夜子の前に置いた。
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