#10ダイヤのピアス

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「ああ」  五十嵐は自分でボトルを持ち、中身をグラスに注ぎながら言葉をつないだ。 「僕も、ミンティエンは初めてなんだ。有名な建築家、ピエール・マルケス氏が手がけたらしいよ」  そう言って彼は、赤ワインを一口飲んだ。  三夜子は膝の上にに置かれた紙袋を覗いた。 「気に入らない?」  三夜子は五十嵐の問いかけに頭を左右に振った。  ――そういうことじゃなくて。 「どうして……」  三夜子はじっとうつむいた。 「どうして、こんなことをしてくれるんですか?」  顔が熱くなっていく。こめかみがずきずきと痛む。もう、我慢できなかった。三夜子は、ついに泣き出してしまった。
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