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三夜子は、それを見るとあらためてこう言わずにはいられなかった。
「本当に……いいんですか?」
五十嵐は、グラスのワインを飲み干して立ち上がった。
「はやく履いて」
彼に見下ろされて、恐る恐るその芸術品を床に置いた。そして靴を脱ぎ、足をミュールへ滑り込ませた。
それは、甲の薄い三夜子の足にすいつくようにフィットした。足の裏が一ミリもずれていない。
「よかった、サイズが合って」
――ほんとだ。どうしてだろ?
「どうして、サイズを?」
身を起こして首を傾げた。
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