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「からかうな。学校の生徒だ」
五十嵐は、樋口の体から離れると無愛想に答えた。
「生徒!?」
樋口は瞬きを忘れて三夜子を見つめた。
「誤解すんなよ?」五十嵐は、いぶかしげに笑った。
「誤解すんなよって……」
樋口は、ずっと三夜子を見つめたままだ。
「社会勉強だ」
五十嵐はそう言って、三夜子をとなりに寄せた。
「はじめまして。佐渡三夜子といいます」
三夜子は、恥ずかしそうに上目で樋口を見て、少し頭を下げた。そして、手を差しだした。
「はじめまして。いやあ美しい。本当に学生?」
樋口の驚きに満ちた声は、わざとらしかった。樋口は、三夜子の手をゆっくりと上下に振った。
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