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「は、はい……」
三夜子は、はにかむように笑った。
「お前はホントに……」
樋口は、三夜子と手を握りしめたまま眉をひそめて五十嵐を横目で見た。
「なんだ? それより、はやく手を離してやれ」
五十嵐は、そっけなく言った。すると、樋口は惜しむように三夜子の手をほどいた。
「変なことすんなよ?」
樋口は五十嵐の耳元でささやいた。五十嵐は口を曲げた。
「僕はそんな人間じゃないよ」
樋口は苦い顔で首を傾げた。そして、二人を奥の会場へ案内した。
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