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その間にツバキは、食卓にのせた丸い鏡の前で、付け睫を丁寧に外しながら三日間の出来事を話した。
三夜子が想像していた通りに、ツバキは彼の家にいた。彼と愛し合っている最中に、彼の妻が部屋に入ってきたらしく、妻がヒステリーな声を出しながら二人に向かってきたので、逃げるようにして帰ってきた、ということだった。
そんなことを淡々と話しながら、ツバキは煙草に火をつけた。
「超こわかったよお」
ツバキの貧弱な瞳がひそめた眉とともに顔の中央によった。
「もう、ちゃんと考えなよ?」
三夜子は言ったあと口をとがらせた。
「うるさいなあ。わかってるよ」
ツバキは、煙草をくわえたまま綺麗に巻かれた黄金色の髪をいらだつように両手でかきあげて揺すった。
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