#2スチールメーキャップ

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「そんなにからかって楽しいですか?」  三夜子は不満げに片眉をつりあげた。五十嵐は、資料から三夜子へ視線を移し、口を開いた。 「エレベーターがきたよ」  三夜子はふんと鼻を鳴らして、エレベーターに乗り込んだ。彼が後から大股で一歩踏み込み、エレベーターに入った。  三夜子は、五十嵐に背を向けたまま、ボタンの前に立った。 「五階、押してくれないかな」  落ち着きはらった五十嵐の頼みに、三夜子は俯いて顔をしかめた。 「はい」  三夜子が感情のない声で返事をすると、五十嵐は不快感を表すような咳を一つした。  しばらくして、三夜子はふと考えた。彼はこの学校の校長だ。その意識が上がって、彼女は全身を緊張させた。 「あの……」  頭を少し下げた。 「すみませんでした」  エレベーターのドアが開き五階へ着くと、五十嵐は何もこたえずに彼女の横を通り過ぎた。 「む、無視?」  三夜子はぼんやりと呟いてしばらく扉を見つめた。  再び怒りが込み上がる。彼女はドアに向かって、歯をむき出しにした。
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