#2スチールメーキャップ

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 三夜子は安堵の笑みを浮かべ、黒いロゴが入った胸に手を押し付けた。 「となりにすわる?」 「ああ、はい」  三夜子はぎこちなく笑って、そばに近寄った。  女は、隣の椅子に置いた自分の荷物を床へうつし、席を空けた。三夜子はそこへ腰をおとした。 「プロコースの二年生?」  そう言って、女は手際よく化粧品を机に並べた。彼女は、肩までの髪を後ろで一束にし、キャラメル色のフレームの眼鏡をかけ、知的な雰囲気をただよわせていた。  眉は描き足す必要がないほどの綺麗な形で、斜めにこぼれ落ちた前髪が大人の女性を感じさせる。三夜子はしばらくみとれてしまった。 「ええ、そうなんです。あなたは?」 「わたし? わたしは美容師やってるのよ」  女はにっこりと笑った。 「どうして、そんな人がここへ?」
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