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「日本に用意されたシェルターは?」
足を止め街頭のテレビに視線を向けながら中年夫婦が会話をしている。
「しかし抽選だ。漏れた時の為にシェルターは必要だろ?」
そんな会話に耳を傾けながら、俺は世界を憂う。
世界は危機的状況だ。
アフリカで発生した新型ウィルスが世界を変えた。
致死率10割。空気感染する死のウィルス。
感染者を隔離するのではなく、健康な人を隔離するしかない。
日本は半年後抽選結果の発表、その翌月からシェルターへの移動が始まる。
《半年後》
俺は抽選から漏れた。
だが、中年夫婦会話が参考になった。
仲間内で協力し用意した体育館の様な簡易シェルターがある。
俺達は大量の食料を確保し避難を始めた。
《一年後》
簡易シェルターは意外と快適だ。
世界には同じ様に非難した人が大勢いた。
最近の日課は彼等との交信だ。
《三年後》
日本政府が用意したシェルター内で感染が確認されたらしい。
《五年後》
交信が少ない。数える程度のシェルターしか残っていない。
《十年後》
交信が途絶えた。俺達も限界が近い。
《十ニ年後》
外から子供の声がする。
感染していたのは……。
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