バイト零日目

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 俺の惰性的な生活プランの歯車が壊れたのは20日前に遡る。  街のセンター街で美少女を見つけた。  金髪碧眼。見た目から何人かは判別出来ない。ただ、途方もなく美少女なのは間違いなかった。  羽の様に流れるノルディック・ブロンド。  小さい顔に、見事に栄える鮮やかな瞳。  眉目秀麗と言うしかない程、整った顔立ち。  ワールドクラスの俳優や歌手でも、嫉妬しそうな可愛らしさだ。  気になったのは格好だけだった。不思議の国のアリスだ。  あのウサギ追いかけてメルヘンワールド一直線の。  何故アリス?  疑問も、その愛くるしさから無視することにした。ビバ、美しさ。 その姿を眼で追っていると……。  何を血迷ったのか交差点に飛び出した!慌てて止めに行く俺。その時、気付くべきだった。 回りの反応を。  誰も彼女を見ていない。  見ているのは……、  見えているのは俺だけと言うことに。  重い衝撃。赤信号に飛び込んだアホな高校生が一人出来上がった。
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