カラス女

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別れは予測もなく突然だった。 男は女が出来たらしい。 元々アイドルみたいなコがタイプだといっていた。 確かに私はあまり化粧はしない。自然なスタイルを好むほうだ。 アイドルのような女に男を取られた。 許せなかった。 私の寂しさをわかっていなかった。 殺したいと思った。 男は、 「お前も楽しかっただろう?もうしてやれないから出てってくんね?」 いたずらっぽい笑顔で言った。 彼女ではないことはわかっていた。 でもこの関係がずっと続くと思っていた。 泣きながら荷物の整理をした。 きっと止めてくれる。 こんなはずではない。 男は玄関まで送ると、 「彼女にばれるから電話してくんなよ。」 とだけいい、1年間の関係に終止符を打った。 私は、その夜初めて自分の手首を浅く切った。
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