初男

2/17
前へ
/132ページ
次へ
私が生まれ育った町は、徳島の小さな田舎町で、電車も2時間に1本しかない。 私はそんな町が嫌いで、いつも東京に出たいと思っていた。 郵便局員の父は寡黙で、保母の母はとてもおしゃべりだった。 なんの不自由のないこの町を私は疎ましく感じていた。 いつも高校から帰ると笑顔で迎える母と、定時に帰ってくる父、そんな単調な暮らしがとても嫌だった。
/132ページ

最初のコメントを投稿しよう!

226人が本棚に入れています
本棚に追加