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【???】
「ん、新しい読者がいらっしゃったか」
そこを一言で言い表すならば“平凡”
ファンタジーな物があるわけでない
SFな物があるわけではない
ただ“平凡”
我々が良く見るような場所
それは当然だ。
――ここは“我々がいる世界”なのだから
「新たにいらっしゃったもの好きたるアナタは一体何に惹かれた?型月?東方?リリなの?ガンダム?それともまさか……無名たる世界を追い続ける同胞?」
そしてその“平凡”の場の中にいる一人の男
歳の頃は17~19辺りだろう。まだ若いがその顔に投影された表情は何処か読み取り難い
「とにかくようこそ読者サマ、これからアナタが触れるのは“存在するハズ無き七つの螺旋”という名の快楽と道楽を握りしめる芝村の地獄、そこでアナタは何を思い何を願い何を救う?」
男は手を動かし目の前に置いてある物――ノートパソコンに接続されているマウスに手を置き操作を開始する。
「ほぉ、アナタが好きな作品はそれか」
男はマウスを操作してあるページの下にある名前の縦列、その列で一番上の名前を選択し、クリックする。
「結構、アナタには十分にこの世界(ゲーム)に介入(参加)する資格があるようだ。最も先にある未知に対し是とするか否とするかはアナタ次第だが」
男は目を細める。
何か策略を練っているような……そんな目だ。
「一つだけ、“観て”いるだろうから言っておこうか読者サマ、この世界(ゲーム)は虚構でも現実でもない、その答えはアナタの捉え方次第、しかし」
男は手を組み口元を隠すようにして肘をパソコンが置かれたディスクに置く
「アナタは感じた事はあるだろうか?この世界で生きているという実感が湧かないという事、己が己ではない気分になる事、虚と実は等価だと思った事」
男は今まで深刻そうな顔を続けていたが、ここに来てフッ、と歳相応の笑みを浮かべた。
「ならばアナタは本作に逢うべくして今まで生きてきたに違いない、ここに来たのは偶然でも何もない、本作に逢う。その“可能性”を持っていたからだ」
男は嬉しそうだ。
とてつもなく嬉しそうな表情(カオ)だ。
小さい子供が親から欲しかったオモチャを貰った時の表情と何ら変わらない表情だ。
――だが違う。
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