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「介入回数……数百、いや数千はくだらないかなセンセー?」
かつて自らに力を授けてくれた原初の師の姿を思い浮かべる“彼”――白より出、万物の調停者、人間の手により非業の死を遂げた英雄族の巫女王妃
「アルファの連中もアレだしなぁ~」
次に自分を色々と世話をしてくれた黄色のジャンパーを着た男達を思い浮かべた。
無理矢理ゲームコントローラーを持たされ、試作したゲームの一テストプレイに丸一日付き合わされたりしたが今となっては懐かしい限りだ。
「さて、と……」
そこで“彼”はクルリと頭を動かしてその顔を“こちらに向けて”微笑んだ。
意地が悪く、何も無いそんな微笑みを
「ん~……ああ、ついに来たか……外側の連中、好き勝手でもの好き、道楽と快楽に常に餓えている内よりからは決して覗けもせず触れられもしない、人外魔境の観客共、アンタはその一人か?」
笑う。
酷く人間的過ぎてかえって酷く人間的ではない笑顔で笑う。
「こんな物語(ゲーム)、もの好きでもねぇ限り手にも触れねぇし何よりあのバカのあんな“言葉を観た”後にここにいるんだ。アンタもその一人なんだろうな介入者(プレイヤー)?では軽く自己紹介、俺はこの物語(ゲーム)の主人公、意識的には“最後の希望”なんて大層ご立派な名前を持っただけの弱っちくあのバカからアンタ達やこれから出逢う奴らの案内人を任命された哀れな存在サ、これ以上はおいおい説明されるだろうし早速案内しよう。アンタが求めてやまないステージを、な」
“彼”がフッ、と軽く笑ったかと思うと腕を大きく横に振るう。
するとどうだ。
“彼”の周囲に何やら青く光ったり白く光ったりする粒子が彼を中心に渦を巻くようにして包んでいくではないか!
――WTG接続良好
――情報固定、流動情報子安定
――座標軸XYZ固定演算修了
――全工程オールグリーン
「それでは、物語(ゲーム)の始まり始まり~」
暫くして渦が消え晴れた時、それと同時に“彼”の――この物語(ゲーム)の主人公たる“最後の希望”の姿もまた消えた。
これより始まるは一人のバカによって生み出された虚構の物語
そこで舞うのは使命と理念が一致した幸せな者達による豪華な舞踏――
代金は不要、己がこうでありたいと、そうしたいと願っているバカならば十全
ここはバカが華咲かす舞台、もしあなたがバカならば何も心配する事はない
ここはバカが華を咲かせる舞台なのだから……
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