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「今の俺ならあのテスロサのバカ野郎すら素で追い抜けるんだが……第3は精霊が馬鹿に少ないから飛べるにしてもめちゃめちゃ遅ぇんだよなぁ~……チッ、忌々しい」
思い出すはあのパツキンスピード狂の姿、吐き棄てるように呟くと、彼はそれを振り払うかのように再び加速していった。
◆◇ ◆◇
【同世界・同惑星 元ヴァチカン市国】
《同年同日 14:08》
「よっ、と」
空中から一つ宙返りをしつつ、見事な着地を見せ、いや魅せたこの男、あれだけ離れていた距離を僅かな時間で短縮させた彼、誠に規格外、人でなしである。
「や、俺、完ッ璧に人じゃね~から、見た目以外」
……それは失礼をば
「ま、それはさておきと……あの名高いカトリックの総本山がよくぞここまで……見事に廃れちまったな」
ここで歴史や地理に疎い読者諸君がいる事を考慮して軽く説明をしよう。学生の諸君は定期テストにでるかもしれないので覚えておくといいかもしれない、多分
ヴァチカン市国――イタリアのローマ市内にあるキリスト教におけるカトリック派ローマ教皇によって統治されている世界最小の国である。
ヴァチカン市国というのは、元々この地の名前であった“ヴァティカヌスの丘”から取られている。
国土面積としては何と第7世界の我らの愛すべきネズミ君がいる夢の国より小さい
しかし、有名かつ歴史ある建物は多く、サン・ピエトロ大聖堂、ヴァチカン宮殿、ヴァチカン美術館、サン・ピエトロ広場(建物じゃないが)など、歴史好きにとってはたまらない場所なのだ。
これが“表向き”のヴァチカンの姿である。
「しかし、事、第6の一部のヴァチカンには……裏がある。とてもくら~い裏が」
“普遍的”な意味を持つ一大宗教の裏側には何か常に黒いイチモツやニモツを抱えているのだが、事、第6世界群の一部のカトリック総本山には“異端排斥”となるものが存在する。
――“聖堂教会”
神の教えを説く彼らは、その教義に反したモノたちを認めていない、そういうのを異端と言うのだが、彼らはそれを神の御名になんたら~、とかで力づくで排斥しているのだ。
そういう者達を代行者と呼び、悪魔やら吸血鬼やらの異端を消し去る事を目的とする教会における異常者の集団
もっぱら、彼らにとっての最大の的は吸血鬼だろう。悪魔はどこぞやの反逆の魔剣士や犬の大妖怪が頑張ったおかげであまり見られないし
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