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さて、そういったこの国だが、今はかの栄光ある姿を見る事は出来ない、有名高名な建物は軽く崩壊しかけ、生き物一つもいやしない、もはや忘れられた街(ゴーストタウン)のようだ。
「はい、ちょっと失礼します、よっと」
彼は市内にある手頃な教会関連の建物を見つけて、その扉を……なんと蹴破りやがった。
半ば扉がひん螺曲がっていた為、手で開けるより足で壊した方が良いだろうと判断した為だが……まさに神に対する冒涜行為だろう。
だが彼は全く気にしない
「だって知り合いだし、神様とは、某女神とかそうだしさ」
…………ま、まあ先を進めようじゃないか
「ええ~っと……どこかなぁ……」
彼は建物の何やら個人の書斎に入り、物色を始めた。
ってか人がいないとはいえ大したヤツだな……これが主人公だからなおアレなのだが……
「……お、コレだ♪」
おや、どうやら目的の代物の入手に成功したご様子、それは一見すると分厚い本であった。
まるで辞書のような感じだが、表紙がボロボロのせいかどんな本なのか解らない
「……紙の変色具合、インクの付き方から察するに大体80年代の物だな、完璧だ。では失礼いたしまして……」
何やら鑑定らしき事を終えた主人公は表紙を開き、ページが見えたところで……
ベリッ
破った――
ベリッ、ベリッ、ベリッ
更に破る破るとにかく破る破りまくる破り続ける。
「~♪」
鼻歌に合わせてリズムカルに破る。
ちなみに曲名はどこぞの未来からやってきた耳が無いネコ型ロボットのアレのようだ。
もう数十枚は破いたのではないかと思ったら、彼はまだページが残っている本の表紙を閉じそれを左手に持ち、破った紙を右手に重ねて持っている。
「これだけありゃ良いか」
目測で50か60辺りか、それぐらいの数の破いたページを持った彼はそのまま右手を放す。
すると当然、支えを失ったページはそのまま下に落ち――る前にフッと煙のように姿を消したではないか
「え~っと……他には何かあるかな?」
更に左手に持った本も手から放す。やはりまたも先程と同じように床に落ちる前に姿を消した。
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