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「ん、コレは90年代の、か?駄目だな、概念が弱い……おや、純銀の十字架……聖水処理が施されてんな……役に立つか?ま、売れるだろうし貰っておくか、え~っと此方には……」
もはやプロのコソドロの手口で漁りに漁る。
それが小一時間程続き……
「……良し、これでいい」
コソドロまがいの行為を終え、彼はようやくそこから立ち上がった。
そして来た道を戻り、外に出る。
「さて、お次は……あん?」
ふと、何かに気付いたのか、彼は右側の方角に目をやる。
「……この波動は……精霊?しかもかなり強力な……でも、いや確かめれば済む事か」
一人納得すると、アンスは一人歩き始めた。
やがて、たどり着いたのは何処か威厳があり強大な力を感じさせる建物、しかし余りにも力がありすぎるように見えてこの聖なる場所にとっては少し異端だ。
「埋葬機関の本部……か」
埋葬機関――その道の人間にとっては畏敬の名、払いのエクソシストではなく殺しのエクスキューターのみで形成された異端審問のエリート代行集団、教会が誇る化物達の巣窟
「何故ここから……ってまさか……」
微妙にイヤな予感を感じつつ、その中へ入る。
やはり誰もいないが、流石はあの埋葬機関の本部、妙に先に行きづらい感じが強烈にのしかかって来る。
「……ナルバレックの呪いでもあんじゃねぇだろうな?」
とか言いつつ、わりと堂々と歩き続ける辺り、彼もまた彼で肝が据わっている。
暫くイヤに長い広い廊下を渡り、怪しげな地下階段を降りた矢先、何やら、ドデカイ扉の前にたどり着いた。
「……間違いない、ここから感じる。ここは……倉庫、か何かか?」
近いとすればそんな感じであった。
扉にはこれまたイカツイ錠が掛けられている。なかなか見ないタイプだ。
「ふむ……鍵を探すのは面倒だな……どうやら……神秘では壊れないようだが……」
そこで彼は右手を軽く腰だめに構え、空手のようにして扉と向き直る。
そして何やらブツブツと呟き……
「■■■――!!」
爆発するように叫んだと同時に、彼は目で追えないような速さ右手を前に突き出し、扉を殴った。
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