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「わ、私っ!そんな人の人生に関わるような生き方してないっ!!」
自分でもいまいち理解出来ない台詞を大きな声で発してしまった。
「いーや?陽与はさぁ、俺にとって凄い大事な人なんだ。
運命というものが存在するなら俺は陽与の事、運命の人って呼べるよ」
中学生らしからぬ口調と物言いに、私は怖じ気づく。いつの間にか、呼び捨てにされている事なんて、気づかないくらい。
「待って、捺斗君はどうして私なの?」
とりあえず今日初めて会ったばかりの人に、こんな熱烈な告白を受けても困る。
「……陽与は、覚えてないんだね。
まぁ、無理もないか。でも教えてあげないよ」
意地悪そうに笑う捺斗君に何故か、心臓が跳ねた。
うそ……
これはしーちゃんがいなくなったから寂しいだけ。
大丈夫。
私はしーちゃんが好きだよ。
必死に自分に言い聞かせた。
でもそんなことに必死になって、私はすっかり忘れていたの。
捺斗君に怒る事も、
しーちゃんとの約束も。
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