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「捺斗君と私、どっかで会ってるんだよね?」
私が聞くと捺斗君は驚いたように目を見開いた。
「思い出した!?」
「えっ、と……、ごめんさっき頭撫でてたら何か……、見覚え……?」
「……そっか。いいよ、思い出してくれるなら、ゆっくりで……」
悲しそうに笑うと勢いで起き上がったベットにもう一度寝転がった。
「陽与ちゃーん!ちょっと来てー」
「あ、ママだ。はーい!捺斗君ちょっと待っててね!」
突然ママに呼ばれ捺斗君を置いて私は部屋を出た。
「何?ママ」
するとママは満面の笑みで私を見た。
「パパがね……、海外赴任先で寂しいからママに来てくれないかって!」
パパ……、良いとしこいて何言ってんの……?
ちなみにパパは外資系企業で部長さんをしている。
そしてそのパリ支社に今赴任中なのだ。
「で?ママ行くの?」
「もっちろん!利貴さんが呼んでるんだもの!」
年甲斐もなく。
と言うのは、本当にこの事。良い例が目の前に。
お願いだから、ベターな少女漫画の子みたいにもじもじしないで、ママ……
あ、利貴(トシキ)っていうのはパパの名前です。
この2人、普通はそういうのって冷めていくんじゃないの?
本当、ある意味すごいよ……
「で、いつ出発?」
「え?明日?」
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