鈴華

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「指名のあるお客さんには名刺を渡しちゃいけないんだよ。覚えておきなね」 関口さんは優しく笑って教えてくれた。 「全く、石田くんは俺を新人担当にしてるんだからなぁ~」 笑いながら石田を見ると、舌をちょこっと出して肩をすくませて見せた。 それから関口さんは色々教えてくれた。 お店の男子従業員の事、指名してるツバサさんの事、周りにいる常連客の事、テーブルで女の子がする事… 15分程して再びマイクで呼ばれるまでに、私の緊張はだいぶ解けていた。 入れ違いに席に着いた人がツバサさんのようだ。 顔が小さくて鼻筋も通っていて、綺麗な人だった。 ただ…私を見る彼女の目はとても冷たかった。 .
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