鈴華

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接客にも慣れてきて楽しむ余裕が出て来た頃、急に店内が暗くなった。 ガンガン大音量で流行りの曲が流れ、レーザービームが目まぐるしく動く。 白いドレスやシャツがブラックライトで照らされる。 男子従業員はバタバタと忙しそうに、何やら準備を始めている。 「これから何が始まるんですか?」 隣のお客さんに体を寄せて、耳元で叫んだ。 そうしないと聞こえないくらいのBGMが鳴っているからだ。 同じようにしてお客さんが答える。 「これからショーが始まるんだよ!」 ショー? 私が首を傾げると、お客さんはちょいちょいと前を指差す。 ホールの前方に半円の段差があって、今はカーテンが閉められている。 あれはステージなの?と尋ねようとしたが、ホールが真っ暗になってしまったので止めた。 流れていた曲が終わり、一瞬の静寂があった。 そして次の曲と共にぱっと一斉に明かりがついた。 .
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