鈴華

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最後の曲の終わりに差し掛かると、男子従業員がマイクで女の子を紹介し始めた。 それに合わせて女の子は一人ずつ出て来ては、ひらりと挨拶をしていく。 マイクは何を言っているのかが分からない。 最後の一人だけは「アヤネ」とはっきり聞こえた。 一人で歌っていた人だ。 堂々としていて、色気があって、綺麗な人だった。 お客さんは私の肩をつつき、「あの人がNo.1だよ」と手ぶりで教えてくれた。 ショーに出ている人、しかもNo.1なんて、関わる事はないだろうなぁ、なんて人事に思っていた。 ただひたすらに感動して、芸能人か何かのように感じていた。 私はただのバイト。 そこまで本気でする度胸も根性もないもの。 .
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