千佳

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「あー…、お金ないなぁ」 大学の机に突っ伏して、私はため息をついた。 「ちゃんと家賃払ったか?この間支払日だったろ」 隣の席の直樹が、私の横腹を小突く。 「…大丈夫だってば」 ごもごもと言って、腕に顔を埋めた。 本当は払っていない。 クレジットカードの返済で、家賃まで回らなかった。 「ふぅん…。あ、今日千佳ん家行こうかと思うんだけど」 「ホント?来れるの?嬉しいっ!」 ぱっと顔を上げて、小さく跳びはねた。 直樹は私の反応に、満足そうに目を細めた。 私は大学一年で、バイトして貯めたお金で無理矢理一人暮らしを始めた。 とにかく家を出たい一心で、ぎりぎりのお金で今のワンルームを契約した。 生活もいつもぎりぎりで、クレジットカードのキャッシングで賄っていた。 家賃は数ヶ月未払い。 かなり厳しい状態だ… .
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