付き合ってても片想い?

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ずっと見てたつもりだったのに何だかまた新たな面を知ってわたしはもっと知りたい、と思ってしまった。 ガンッ!とまた大きな音。でも今度は目を反らさないで見れた。相沢君はダンクシュートの練習をしてた。 さすがクラスNo.1の長身。少しジャンプするだけでゴールに届いてる。でも何かステップみたいな事しながらやってるから中々上手く入らない。 誰かに練習相手を頼めばいいのに、と思って反省。教室での彼の様子からそれは無理な話だ。だからこうやって一人で一生懸命に練習してるんだ。見てるこっちが焦れったい。 ―――そんな頑張ってる姿見たら…応援、したくなっちゃうでしょ? (───頑張れ…頑張って!) 気が付いたらわたしは相沢君を真剣に応援してしまっていた。我に返った自分の顔に一気に熱が集まるのがわかった。 (今のわたし…絶対顔赤いっ!───お、おさまってよ‥わたしの心臓のばかぁっ…っていうかあんなの反則だよっ‥) わたしはパニックになってカバンを持つと勢い良く駆け出した。あのままあの場所で相沢君を見ていられる自信がなかった。自覚した時が一番厄介だともこの時気付いた。 クラスでは無表情で誰とも関わろうとしない相沢君。でもこの日を境に彼の意外にも努力家な所を見てしまったわたしにとって相沢君は“ただのクラスメート”から“気になる男の子”へとなってしまった。 ************** (───なーんて…少女漫画みたいに回想しちゃったり‥) 季節はすっかり夏真っ盛り。教室では期末テスト明けでHRの真っ最中。窓際の最後尾のわたしの席には窓から僅かなすきま風が吹いてそれが唯一この暑さを凌げるモノ。わたしは下敷きでパタパタ扇ぎながらHRをぼんやりと受けていた。ふと廊下側の最後尾の席でモゾモゾと動いてるのが見えた。 (寝てる…あれは絶対寝てる‥) 見慣れたさらさらの黒髪の大きな男の子がカバンで顔を隠して寝てるのが分かる。だってこの4ヶ月間ずっと見てきたから。思わずわたしの顔に笑みが浮かぶ。 「ふふっ、可愛いなぁ相沢君♪」 「なぁに笑ってんのよ、ストーカーめ」 「ストーカーじゃないもん、恋する女の子だよ?」 いきなり周りの人が聞いたら勘違いしそうなセリフを堂々と言うのはやめて欲しいなと内心思いながらわたしは返した。
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