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どうやらHRは終わったようでみんなそれぞれに帰り支度をし始めてる。…見とれてる場合じゃなかったみたい。
「今日のHRってなんだったの?」
「2学期のイベントについて?夏休み中に学園祭でやりたいモノとか考えとけって話よ」
「ふーん…ってあっ!」
「な、何よ急に?」
「行っちゃったぁ…」
「あー‥アンタの“彼氏”ね?」
わたしが残念そうな声を漏らすと頭をポンポンと撫でて慰めてくれた。わたしがさっきまで見つめてた場所は既にモヌケの空だった。
わたしの友達三条真緒(さんじょうまお)ちゃんはわたしとは対称的で活発。女子テニス部に入ってるショートカットがよく似合う女の子。ちなみに小学生からのお付き合い。だから言わなくてもわたしの表情でわたしが何を思ってるのかすぐにバレちゃう。
「ねぇ、ホントにあの冷血人間と付き合ってんの?何かの間違いじゃない?」
「間違いなわけないでしょー?ちゃんと帰りは一緒に帰ってるからご心配なく♪」
「何そのギャップ…ほのぼのカップルしちゃってるわけなの?」
「あやみーん、ちょっと…っとお取り込み中?」
教室のドアからひょこっと顔を出して手を振る女の子は五十嵐美南(いがらしみなみ)ちゃん。お隣のクラスにいるウチの隣に住むもう一人のお友達。スラッとしててまるでモデルみたいな美人さん。
「ううん、もう終わったよ?…どうかした?」
「えーっとね…彼方が自転車ぶっ壊れたらしくて暫く歩きで帰るから良かったら一緒に帰らない?ちょっと可愛い雑貨屋見つけたの」
「雑貨屋さん?行きたい~♪」
「アンタこれから部活でしょーが!」
せっかく行く気になった所でピシャリと真緒ちゃんに現実に戻された。
「そうだった…今日は体育館の部活への差し入れ作りしなきゃいけないんだった‥」
「そっか…残念、じゃあ今度休みになったら行こう?部活頑張ってね?」
部活に入ってない美南ちゃんはわたし達を激励すると颯爽と帰ってった。
「あたしらもそろそろ行こっか?」
「うぅ‥雑貨屋…途中までのらぶらぶ時間~‥」
すっかり半分くらいやる気がなくなったわたしはしぶしぶと部活に行く支度をし始めた。
既にお分かりかと思うけどわたしの“彼氏”というのは紛れもない相沢君の事である。
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